珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

HIVと望まぬ妊娠の回避について・・・医療費リテラシーの視点からの提言

今回はHIVの概論と、望まぬ妊娠の回避法を費用という視点から書いてみます。それと最後に医療費リテラシーについての提言。

さて、いきなりですけどみなさん、病院いっていざ会計というときに、費用の欄を見てびびりませんか?なんて高いのだろうと(笑)
この医者、5分診療でこの金額とって!貴様時給いくらやねん!みたいな。*1

このように病院でかかる費用は様々ですけども、僕が医学部に入って一番衝撃を受けたのはHIV(後天性人免疫不全症候群)の治療費でした。
その額なんと全額自己負担だとに15〜20万円。3割負担で毎月5−6万円!(これは治療薬にかかる金額です)これに検査費用とか他の感染症の治療費も加えると、さらに値段が跳ね上がります。

さてこの金額、毎月払える人が何人いるんでしょう?ていうか普通に働いている人でもキツくないですか?*2

みんな言ってますけど、僕は日本の教育に一番欠けている視点はお金の論点だと思います。性教育だって絶対に導入すべき!

僕が避妊具の重要性の話で言われたのはつけないと、やれ子供が出来るだとか、病気になるだとか、他にも色々聞いた気がしますけど、どれ一つとしてその言葉に実感がわかない抽象的単語の連続でした。(病気は治りそうだし、子供は出来たら育てるものだと昔は思ってました・・・今はそうじゃないよ!?)

そこにお金というある意味想像力のわきやすい簡単な指標を加えれば、何故避妊具をつけることが大切なのかが説得できると思うのです。
(基本的な社会人の給料や生活に必要なお金とかを教えた上で、もし子供が出来たらいくらかかるかとか、HIVの治療にいくらかかるかを教えれば、避妊具をつけないことがどれだけ怖いことかわかるんじゃないでしょうか?無いお金は絞りだせないのだから・・・普通はね。)

これをしっかり教育もしていないのに、HIVの予防だけを呼びかけても、想像力が何も働かないのだから、予防できるわけないじゃないですか!

もし仮に避妊具をつけないで性交渉をしたとき、自分も、相手も月6万円の負債を負う危険がある、という事が一瞬でも頭の中をよぎれば、少しは装着率があがりそうだな、と思いませんか?こういう想像力を喚起する教育を国はとるべきだと思います。

今回HIVを主に取りあげたのは、この病気の面白い特性からでした。
1、両方感染のリスクがある。2、完治しない。3、治療費という足枷が双方につく。僕にはこれ以上痛みという想像力を喚起するのに役立ちそうな病気が思いつきません。

これに限らず、最近は金融リテラシーについてはよく言及さてていますけど、僕は医療費についても同じ事をやった方がいいと思う。年の医療費が○円とかいわれても実感として、ああ高いなとは思うけど、個人としての実感があまりにもわかないので。

さらに言えば、慢性期の疾患(定期的に病院へ通う必要のある病)の診療費こそ、もっとも大切な知識だと思います。たとえば前回は透析についてかきましたけど、はたして糖尿病になったら、月にいくらかかるのでしょう?高血圧は?アルツハイマー病は?それによって、病気にかかってから死ぬまで、いくら余分なお金が必要になるのでしょう?

病気の予防というのは健康のためにやるというのも正しいとは思うのですけど、お金という普通の人にとっての有限資源の節約にもなるのです。今日の昼ごはんをフライ定食から煮魚定食にするという行動が、将来、いくらの節約になるのか?という視点を皆が持ってくれるような活動をしたいな、と最近思うようになってきました。

というわけで、いつか『医療費リテラシー 〜あなたはその病気の治療にいくらかかるか知っていますか?〜』という本を書いてみたいなあ、なんて思っています。だれか同志がいたらご連絡ください。

参考

ガジェット通信の記事(日本の性教育の薄さについて)
http://getnews.jp/archives/98135?utm_source=Hot+Entry&utm_medium=twitter

*1:ちなみに大雑把にかかる金額を書くと、風邪は1000円。切り傷を縫うときは2250円。胃カメラをやれば3500円ぐらいかかります。また町の診療所から大学病院へ紹介状を書いてもらうと1000円かかります。大学病院は紹介状なしでかかると下手すると3000〜4000円取られるので、極力書いてもらったほうがいいですよ。

*2:しかし安心してください。わが国の保険制度は優秀です(いつ破綻するか知らないけど)健康保険に加えて身体障害者手帳を使うことにより、月に0〜2万円という金額で治療を受けることが可能です。アメリカだと盲腸にかかったら死ぬとか揶揄されていますけど、日本は病気で死なないことだけに関してだけいえば、最強です。誰でも救急車にのれますし、到着した病院先で命の危機があったら、治療の必要性の有無を聞きもしないでやってくれます。

参考([http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2010/09/icu2600-icu2-86.html:title])