珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

移植と透析について。

これから移植と透析の問題について書きます。これを読んだ一人でも多くの人がドナーカード*1について考慮してくれればな、と思います(持つ持たない以前に意識にあげて欲しい)

人工透析は大変厳しい医療です。ここではQOLとお金の問題に絞って書きます。まずQOLですが、血液透析の導入が決定された場合、週3回×4〜5時間もの時間を透析に当てる必要が出てきます
(残りの人生、この頻度で病院に通うなんて厳しすぎるとは思いませんか?)
そこまでして、10年生存率は約40%と大変厳しいです。

またお金ですが、日本の総医療費30兆円のうち1兆円が透析に費やされています。それに対し、日本の総人口1億2千万人中、透析患者は約23万人です。つまり約3%の医療費が約0.2%の国民に使われています。単純計算で15倍格差。かけたお金と得られる結果の利があまりに悪い・・・

ここまで読んで、透析は自分に関係ないと思う人も沢山いるかと思うのですが、現在日本で透析導入原因疾患の1位は糖尿病です(およそ45%)つまり透析は特別な誰かのための医療でなく、誰でもなりえるのです。

実は日本は世界でも類を見ない透析大国です。透析は海外では金持ちの医療と揶揄されることもある医療で、とても人気が悪い。例えば年間移植件数(生体含む)と百万人当たりの移植件数で比較するとアメリカ52%、少なめのドイツで30%に対し、日本は6.7%にしかなりません。

移植は初年度こそ約400万円(患者負担額自体は保険でほとんどかからないみたい。)とやや費用が高いものの、最終的に月の費用は透析の30%ですみますし(単純に考えると総額も1兆から3000億まで落ちる。この余った金額を他の事に回せるのは大きい)、通院も月1回ですみます。10年生存率は82%という結果も出ています(ほぼ健常人に近い)QOLも金額も比較にならない。

移植は宗教観も絡む難しい問題で、特に日本人は死について考えること自体を忌避する傾向にあります。そのため、ドナーカードの話など言語道断という雰囲気が流れがちです。しかし切実な問題として、これからの日本財政を考えたとき、いつまで政府が透析医療に対して甘い顔をしてくれるかは誰にもわかりません。

そもそもドナーカードを持っている日本人はどれぐらいいるのでしょうか?内閣府の調査結果では9.0%!そのうち、臓器提供の有無の意思表示を記入している人は60.0%。僕はこれは正しい教育抜きにドナーカードの所持を迫った結果の悪癖ではないかと思います(ちなみに持っているが、臓器提供の有無の意思表示を記入していない人は約40.0%)

現在、透析医療を受けている患者さんの月の自己負担費用はほぼ「ゼロ円」ですませる事も可能です(所得でやや変わる。でも多くても2万円程度)しかし現実問題として月にかかる費用はおよそ50万円にも上るといわれています。

僕は透析医療を受けている人を攻撃する意図はまったくないですけど、もし仮に、自分は癌で治療費を月50万円払っている隣で、透析が0円で行われているという事実を突きつけられたときに、冷静でいられる自身はありません。そしてこのご時勢ですから、いつその議題が政治で利用されるかもわかりません。

近年京都大学の山中教授がIPS細胞を発表しました。これが移植界にどうさようするかはわかりません。ひょっとしたら僕が書いた事も明日には全て解決されている可能性も否定できない、素晴らしい発見です。

しかし現実問題として、もう少し移植の問題については真剣に語られるべきだと思っております。ドナーカードを所持するしないは個人の倫理観が大きいし、僕だってそんなに気持ちのいいものではないですけど、この話がまったく流通しない社会もいかがなものかな?と。

簡単な問題ではないので、軽い気持ちで臓器提供するという事なしに、一度真剣に、正確な情報の元で考えてみてください。

*1:臓器提供意思表示カード・シール(ドナーカード)は各地方自治体の役所窓口、保健所、郵便局、運転免許試験所、コンビニエンスストアなどに設置されております。一度手にとってみてください。またこれは教えていただいて初めて知ったのですが、一部の保険証の裏はドナーカードになっているようです。あと運転免許証の裏にもドナーカードがつくみたい。