アドラー心理学の3倍ぐらい先をいく。ずんずんさんの新刊から学ぶ仕事術
ずんずんさんの新刊を読んだ。内容を端的にいえば「悪いのは全部自分だと仮定した上で全ての改善点をリストアップして物事に取り組め。そうすれば何とかなる・・・かもしれない」みたいな話である。
エリートに負けない仕事術 ~超ブラック企業の元OLが、世界一の外資系企業で活躍するまで大切にしてきた「仕事のキホン」~
- 作者: ずんずん
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こう書くと気の弱い人はゲゲゲ、となってしまうかもしれない。でも正直な事を言えば僕も凡人がこの残酷な世界で生き延びるにはこれぐらいしか方法がないんじゃないかと思っている。
短距離走では凡人は天才には勝てないが、走り続けるという観点では勝利できる可能性がある
世の中、とんでもない天才が沢山いる。僕は生まれて始めて彼・彼女らをみたとき、絶対にこの世には勝てない人間が存在している。自分はそういう人達の残飯を食べて暮らしていくのか・・・とトホホとなったのを今でも覚えている。
しかしこの年まで生きてみると不思議な事に彼・彼女らの姿はどこにも残っていない。自分は実は密かに優秀だったのだろうか?いやそうではない。これもひとえにメンテナンスをし続けつつ、社畜道を突っ走り続けてきた事の一つの恩恵である。
他人は変えられないが自分は変えられる。そして他人は変わらないからこそ、そこに突破口がある。
ずんずんさんの本を一つの模範的教科書の一つとして使ったとして、ずんずんさんと同じぐらい成功することはほぼ不可能だろう。なぜならこれは、ずんずんさんが日々仕事で途方にくれる中で培った仕事術であるからだ。
世の自己啓発本の9割ぐらいは役に立たない。それはそこに書いてある事が嘘だからではなく、書いてる著者が日々困難に直面する中で築き上げてきたスキルだからだ。
あなたが会社で働く中で、非常に多くの困難に直面するだろう。「なんで自分の上司はこんなに性根腐りきってるのだろうか」「なんで部下にここまで丁寧に指導しているのに仕事ができないのだろうか」私達を日々多くの疑問が遅いつける。
そんな時、ほとんどの人は居酒屋でビールをいっぱい煽って仲間と愚痴をいいあうだけで問題を先送りにする。「まあまあ。俺ら社畜だし仕方ないよね」。そして明日も世界は続く。めでたし・めでたくもなし。これが9割の凡人の歩む道だ。
それと比較して、ずんずんさんの生き方は極めて特異的だ。これは予想だけど、ずんずんさんは日々あった悲しい事、疑問点、どうしたらいいのかについて全て紙面上にリストアップして、それをネットとか本とか様々な情報を辿い、その解決方法をトライ・アンド・エラーしてきたのではないだろうか。その中で何とかうまく行ったのがあの本に書かれている仕事術なのだろう。
この手の発想は去年大ブームになった”嫌われる勇気”にもみられ、最近は比較的自己啓発の世界では自責論が流行っている。ただ問題は「多くの本は自分に責任があったと仮定しているけど、そうしたら本当に成功するの?」を述べていない点に集約される。それをキチンと証明しているのが本書の極めて優れている点である事はいうまでもない。おまけにフワッと度0%、仕事の話100%である。その実用度、嫌われる勇気の比じゃねえ・・・
結局、凡人が天才に勝つにはこれしかないのである。物覚えや理解力などの人間としての性能は、凡人は天才に100%勝てない。ゆえに仕事開始時点で凡人は天才に圧倒される。だけど仕事は長いのだ。100メートル地点で突き放されていようが、その後改善を繰り返し、どんどん、どんどん強くなっていけば42.195km地点で天才の姿は遥か後方にいる。凡人である僕らが唯一勝つ可能性は、多くの天才は基本的にはスタート地点から変わらないという事実にある。
断言するけど、変わる凡人は変わらない天才よりも強い。この本には変わる事が可能な凡人の生存戦略が詰まっている。読めば成功間違いなし、だ(ちなみに変わり続ける天才も時々いる。あいつらは相手にするな。死ぬぞ)
正直、僕は読みながら腰が抜けそうになってしまった。なんでこんなに頑張るのずんずんさん・・・まあその頑張る動機は、いつか瀬戸内寂聴のように説法される日にでも聞くとしましょうかね。
と、いうわけでこの本、読みものとしても面白いけど、このようなメタ的視点に立って読むと3倍ぐらい面白いですよ。構成が優れていて1時間ぐらいでパパっと読めちゃうから、読書入門にもいいんじゃないですかね。
エリートに負けない仕事術 ~超ブラック企業の元OLが、世界一の外資系企業で活躍するまで大切にしてきた「仕事のキホン」~
- 作者: ずんずん
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/02/20
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