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珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

初期研修病院の選び方~選べるのなら職場として最適な環境について~

この間某所で初期研修病院の選び方について講演した所、予想以上に反響があったので今回はそれについて書きます(非医学関係者で初期研修という制度についてサッパリな方は適当にググってください。まあわかんないでも読めるように記事は書きますが)

 

現在医科大を卒業した生徒には二年間の初期研修を送ることが義務付けられています。これは以前、日本の医科大を卒業した生徒がいきなり脳とか心臓とかの臓器別専門コースに進んじゃうせいで風邪すらみれない医者がそこいらに散在しているという厚生労働省の制度的な反省と、医者が少なすぎてある程度簡単な疾患については誰でもみれるようにしないと医者の仕事がまわらなくなるという深い深い浅い事情からきています。

 

僕もそうだったので無下には言えないのですが、よく意識の高い学生に「いい研修病院ってどういうとこだと思う?」と質問をすると、コモンな疾患が沢山見れる病院!とかプライマリーヘルスケアが出来る病院!とか手技が沢山出来る病院!とか最先端の治療をしている病院!みたいな回答をする事が多いのですけど、はっきり言いましょう。上記に書いたような事はぶっちゃけどうでもいいです(つーかコモンな疾患とかプライマリーヘルスケアみたいな横文字系フレーズって、名前はかっこいいけどその実何も表してないですよね。具体性がなさすぎ)

 

僕が考える初期研修病院として必要十分な条件は下記の3つだけです。

①自分一人で初診患者を診察させてくれる環境を提示してくれる。

②多彩な主訴に触れることが出来る。

③自分一人で診察した後に、上級医がすぐさま正しい診察の手本を見せてくれる環境があるか。

 

さて以下簡単に説明して行きましょう。

まず①自分一人で初診患者を診察させてくれる環境を提示してくれる。ですが自分一人で、という所が非常に大切です。人間、見学とかすぐとなりで一緒にやってくれるやさしい上級医がいるような環境では間違いなく成長できません。上級医の上手い診察技術を見ると、その無駄のない芸術的な技法に関心こそすれ、次回それを自分で再現なんて間違いなくできません。

まず自分一人でやることで、クソみたいに何も出来ない自分の愚かさを痛感したその上で、上級医の素晴らしい診察技術を見ることで、自分と上級医の診察技法を比較することができます。それができて初めて自分に何が足りなかったのか、を理解することができます。これが本当に大事。

 

次に②多彩な主訴に触れることが出来る。ですが、いわゆる患者さんは狭心症です!とか喘息です!みたいに病名を訴えて病院に来ることなんて殆どありません。大体はやれ胸が痛いとか腹が痛いとか息が苦しいとか、鼻にBB弾を突っ込んじゃって取れないとか、何となく不安だ、みたいないわゆる漠然とした訴え、を元に病院を受診します(君たちだってそうでしょう。風邪っぽいとかインフルが心配とかで受診こそすれ、マイコプラズマ肺炎です!とか後鼻漏です!でなんて受診するのは明らかにプロだけですからね)

 

こういう漠然とした訴えを病名に変換する作業にこそ医者としての基礎力が問われるのであり、この能力はどの診療科に行こうが間違いなく必要とされる技術です。骨折の患者さんだって腹は痛くなるし、喘息の患者さんだって肩が痛くなったりします。少なくとも漠然とした主訴を提示する患者さんに対して、それは自分の専門科ではないから何科を受診してくださいといえないようではいつか訴えられること間違いなしです(医者は診察を拒否する権利がない。僕にはそれはみれないから診察を拒否しますと言うと法律違反になる)

 

だから初期研修で必要とされる能力って循環器の基礎を身につける、とか消化器内科の基礎を身につけるとかじゃなくって、腹が痛いっていう訴えを解きほぐして、ああこれは婦人科疾患が怪しいな、とかこれは消化器系だな、とかこれは心臓系が疑わしいなと疑えるようになる力なんです。そのためには多彩な主訴を浴びられる環境にいる必要があります。これも上級医におんぶにだっこな環境じゃあ身につきませんね。

 

で最後の③自分一人で診察した後に、上級医がすぐさま正しい診察の手本を見せてくれる環境があるか。ですけど、これって実は物凄い難しい事なんですよね。

 

確かに田舎の病院とかいくと、医者が少なかったりして自分で診察できるせざるを得ない環境は簡単に手に入れられるのですけど、元々医者が少ないせいですぐに人に聞ける環境じゃなかったりするし、そもそも自分以外の医者が全員非常勤医だったりして週に1回しか病院にこないとかほんとあるんで。

たまたま常勤医が近くにいても専門が違うと「いやーそれ俺にはわからんわー」とかいわれちゃったり、そもそも医者対患者比が激烈に偏ってたりすると「質問?今忙しいから後でね」とかいわれたりして、その人が暇になる頃には質問自体を忘れちゃってたりしますしね。

比較的医者が有り余ってる大学病院なんかだと、そもそも診察したくてしたくてウズウズしている順番待ちの下っ端が大量にいるせいで、いつまでも自分に診察する機会が回って来なかったりしますし。

 

ここまで書いてなんですけど、上記3つを満たしている病院って、全国でもほんと少ないと思いますよ。むしろ見つけられたらラッキーって感じじゃないでしょうか。医者に限らず、一般企業を受けられる方もこの3つの条件を満たしているとこに入られたら随分と仕事が楽しくなるかと思いますけどね。まあ医者と違ってすぐに職場を変えられる環境ではないでしょうから一概にどうこうとはいえませんけどね。

 

上記内容とかあまり関係ないですけど、働き方についての選択肢を増やしたい方は下の書籍がオススメです。現在はやりのベンチャービジネスの特異性みたいのがわかて、働く生き方と働かない生き方の差異とかがわかって面白いですよ。

 

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