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アツアツだよ(´・ω・`)

医者だからちゃんとした診療をしているとは限らない~書評・視力を失わない生き方~

てきとーに入った本屋で非常に面白い本を見つけ、先ほど読み終わったので紹介する。おすすめ度は☆5。

 

視力を失わない生き方?日本の眼科医療は間違いだらけ? (光文社新書)

視力を失わない生き方?日本の眼科医療は間違いだらけ? (光文社新書)

 

 

本書、「視力を失わない生き方」は現役の眼科医による眼科診療の最先端について書かれたものだ。やや専門性が高い内容なので普通の人が読むのは大変かもしれないけど、かなりわかりやすく書かれているので読めなくはないかとは思う。

 

この本に書かれている事はかなり衝撃的だ。他の病院で適当な目の治療を施され、失明寸前に陥ってしまった症例がそれこそ雨あられのように紹介されている。

 

こんなこと、本当にあるんか???といいたくなるような話のオンパレードだけど、医療の現場にたつものからすれば結構そういうテキトーな診療をしている医者が多いという事も嫌というほど知っているというのもまた事実なので、まあたぶん本当のことなんでしょうね・・・

 

医者ですらどこの病院がいいかなんてわからない

「どこの病院がいいの?」

 

この質問をされた事がある医者は多いだろう。僕も時々される。けど現実問題、この答えに適切に答える事は非常に難しい。だから正直な事をいうと上の質問に関しては「僕でもわからない」としかいいようがないのが現状だ。

 

なんでそんな事になるかというと、そもそもほとんどの医者が自分で働いている施設の、自分に関係する部署の事ぐらいしか実力を見る機会がないからだ(実力をどういう風に外に提示するのかは非常に難しい。スポーツなら勝ち負けが全てだけど、医療の結果はわかりやすいものばかりではないのである)

 

僕は東京で働いているけども、はっきりいってそこら辺にある有名病院がちゃんとした医療を提供しているかどうかはほとんどわからない。医者ですらこんなもんなんだから、一般の方からすればサッパリだろう。

 

また多くの医者がそうだと思うのだけど、自分の専門以外の分野の治療内容をキチンと全て把握しているような人は非常に稀だ。というか下手すると自分の専門分野ですら、ちゃんと理解してないような人間すらいる有様である(なんでこんな現象が起きているのかについて書き始めると非常に長くなるので今回はやめておくが、この問題は結構根深い)

 

話が横道にそれつつあるので話を今回読んだこの本に移すけど、この本が偉いのは一般人向けへの本にもかかわらず、ちゃんと病気別にどういう治療が正しいのかについての記述を面倒臭がらずに書いている事だと思う。繰り返すが、正直これは相当偉い(だってこれだと内容が難しすぎて売れないだろう事は目に見えてるんだから)

 

上にも書いたけど、僕ら医者でもどこどこの病院の誰がどれぐらいの実力があるかがわからないのは、この本のように「自分の実際に行っている治療」について説明されている場所が皆無だからに他ならない。そういう点では、この本は著者の格好の実力の証明にもつながっており、非常に評価できる(こういう形でキチンと自分の実力を説明している医者はかなり少ないし、今後はこういう風に医者側がキチンと自分の行っている業務の腕をアピールできる事が強く期待されるけども、まあ当面は難しいでしょうね)

 

ちなみに僕がこの本で一番衝撃をうけたのは、医学部時代に習った網膜剥離加齢黄斑変性症と翼状片についての治療法が完全に時代遅れのものであったという事だった。どれも結構治療が大変だという記述を読んだ記憶があったのだが、著者によると今は結構普通になんとかなったりするらしい。いやはや、まさか眼科がここまで進歩しているとは知りませんでしたよ。

 

なんかまとまりのない文章になってしまったけど、この本は普通の人は当然として、医療従業者こそ読むべきだと思う。正直、かなりビックリしますよ。