重度障害者や認知症の世話を他人になすりつけてる人は、自分が差別主義者だという事を自認しているのだろうか
今朝起きたら、なかなか衝撃的なニュースが飛び込んできた。
犯行者は「障害者がいなくなればいいと思った」と行って犯行におよんだという。これは実に含蓄深い行動理念だと僕は思う。
平等をドヤ顔で語る人はその裏で働く奴隷の顔を思い浮かべているのか
現代社会は昔と比べて余裕がある。それ故に、昔だったら生きてはいけなかった人達も比較的少ないコストで豊かな生活を享受できるようになっている。そうして発達した現代では、身体・知的障がい者や認知症を患った高齢者が介護福祉施設で養われるようになった。
これ自体はよい事だと思う。社会的弱者という存在をどこまで救うかというセーフティネットが機能しているという事は、それすなわち国民の生活が基本的には保証されているという事とほぼ同義だからだ。
この手の平等を語る人達がよくいう言説として以下の様なものがある。
「障害者や介護が必要となる人達を切り捨てろという人がいるけども、このような事をいう人達はその言説が自分に向く事を考えた事があるのだろうか?人を弱さで選別するような人は、自分にその刃が向く可能性を考えるべきだ」
基本的には僕もこの言説には同意する。弱きものを助けられるのならば、助けるに越したことはない。
けどこのような事をいう人達は、その弱き者を助けている現場の人達の現状をキチンと理解しているのだろうか?
低賃金・劣悪環境で働く人達
今回、事件を起こした人の労働環境は時給900円だったという。これはマックやコンビニ以下の時給である。
介護福祉関係の施設で一度でも働いた事がある人ならわかると思うが、あれはお世辞にも楽しいものではない。ボケて感情が駄々漏れになった気性の激しい老人や知的障害者のトイレだとか食事だとか入浴の世話をして、楽しいと思えるような人はごくごく少数だろう。
もちろんそういう事にやりがいをいる人がいるのは事実だと思う。そういう人は、そういう事に真摯に取り組めばいいとは思う。その事に異論はない。だけどその重労働を、やりたくない人に押し付けるのはどうかと思う。
現代においてこの手の福祉施設で働く人は、学歴社会というレールに上手く乗れなかった人の行き着く先になっている。キチンと勉強して、高学歴ルートに乗って、大企業に勤務できた人は「頑張ったのだから」正規職員として豊かで楽しい労働環境を手にする事ができる。
その一方、勉強もせずに怠けていた人達は「頑張らなかったのだから」自分の職に文句をいう資格はなく、どんな汚れ仕事ですら低賃金で請け負う責任がある。現代はこれが暗に許される土壌にある。
これは自己責任論をたてに「やりたくないことを低賃金で他人に押し付ける事を正当化した現代の穢多非人制度」にしか僕にはみえない。人権というものがあるのならば「やりたくない事はやらない自由」もあるはずだ。だけど現代社会は自己責任論という劣悪な正義でこの義務を自分以外の誰かに押し付けている。
介護をやって欲しい人達は美容整形と同じぐらいのお金を払いなさい
もういい加減、介護・福祉は贅沢品だという認識をキチンとみんなが持つべきだと思う。
例えば僕の業界ならば、美容形成という業界がある。まぶたを二重にするだとか、脂肪吸引をするだとか、はたまたお顔をいじるだとか、まあいろいろある。これらは「自分の満足の為にお金を払う」という認識をみんなが持っているから、医療保険の対象にはならないし、また受診する人は自己責任を元に喜んでお金を払っている。
それが介護になると、命の平等はみんながドヤ顔で語るくせに誰がそのコストを支払うかを誰もが黙殺する。当たり前だけど、重度障害者や強烈な認知症のある人に付き合う為には多大なるストレスと激しい肉体労働が必要だ。
「介護を切り捨てるような人は、その刃が自分にむく事を考えた事があるのだろうか」というリベラリズムを語る人は、「介護を容認する覚悟があるのならば、自分が介護する側を死ぬまでやる覚悟があるのだろうか」という当たり前の疑問を何故もたないのだろうか?僕はこの手の「正義」を語る人は、自分が介護をする側に回る事を考えたことがないとしか思えない。
もういい加減、介護も福祉も美容形成と同じく「贅沢品だ」という認識を持つようにしませんか?やりたい人は、お金を払ってやってください。障害者も高齢者もウンコぐらいしか製造できないけど、まあお金を払ってまでそれらが生み出すウンコに価値を見出すってのなら、僕は何も否定しません。そういう人は、自分の人生のほとんどの時間を費やして、各々好き勝手にやればいい。
低賃金で劣悪な環境で働く人達の事を見て見ぬふりをして自由や平等を語るな。正義や平等をたてに低賃金劣悪労働者の存在を許容する奴は全員が全員、差別主義者を自称するべきだ。
自分がやりたくない事を、正義や平等をたてにして他人にやらせるな。