珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

現役の医師が動物生理学から想定される最善のダイエット方法を考察する

はじめに断っておくが、この考察にはエビデンスは全く無い。この食生活を採択した人になんらかの悪影響が出てきても僕は全く責任がとれない。まあ戯れ言だと思って読み流していただければ幸いだ。

 

僕も気が付くとあまり若いとは言いがたい年齢に足を踏み入れつつあるようになってきてしまった。一応医師をしている関係もあって、不健康は著しく人としての幸せを毀損するという事は重々承知している。

 

世間には沢山の健康法が存在しているのだけど、その健康法の実践者が健康である事は意外と稀だ。それに対し、カップラーメン開発者の安藤百福日清食品創業者)が毎日1個のカップラーメンを死ぬまで食べ続けていたのに96歳まで生き続けたりと、人の長寿への方法論はどうも上手く確立できていない部分がある。

 

科学的だと言われている総カロリー数だって怪しいもので、最近は猫も杓子も糖質制限さえすれば肉も油もいくらとっても太らないとか言われていたりする。果たしてこれまで健康法、栄養学は正しいのだろうか?これはそれに対する一つの考察である。

 

健康モデルとして他の種を考える

まずスタートを人という種から始めると問題が複雑になるので、ここは他の種を元に考察を始めることとする。ここでは草食動物かつ筋骨隆々なモデルである牛に登場してもらうことにする。

 

僕は昔から疑問だった。牛は運動もしないで草ばっか食べてて何であんなに筋骨隆々なんだろう、と(人間のベジタリアンで筋骨隆々な奴なんて見たことがない)。牛が口にするものの中には、全くと言っていいほど筋肉の元になるようなものはないのだ。

 

その疑問は動物生理学の書を読み解くことで氷解した。牛の筋肉のみなもとは、なんと牛の胃・腸に存在するバクテリアだったのだ。

 

有名な話だが、牛には胃が4つ存在しており、かれらはその複数の胃を用いて反芻という世にも奇妙な消化運動を行う。なんでそんな七面倒臭いことをするのかというと、後ろの胃で増殖したバクテリアを効率よく消化する為の行動なのである(胃は主に食べ物をバラバラにする役割を担っている。もし仮に牛が反芻せずに食べ物を後ろへ後ろへと追いやってしまったら、多くのバクテリアは栄養素として取り込める最低限の単位まで分解されずに小腸~大腸へと移行してしまうため、一食単位での栄養吸収率が著しく落ちる)。

 

僕ら生物の消化管は大雑把に分けると胃・小腸・大腸と分かれている。簡単に説明すれば、胃は消化を、小腸は栄養素の吸収を、大腸は水分の吸収を担当している(残ったものが便になる)

 

牛は胃の中に多数のバクテリアを飼っており、そのバクテリアは牛の食べた草を用いて増殖する。そして牛はその増えたバクテリアを食物とともに様々な胃に移動させて消化し、バクテリアをタンパク質の元となるアミノ酸へと分解する。

 

これでようやく初めの疑問点が氷解する。何で牛が筋骨隆々かって?それは多数のバクテリアを分解して、滅茶苦茶な量のアミノ酸を獲得しているからなのだ(アミノ酸はタンパク質のもとであり、これが筋肉のものとになる。さらに言えば、バクテリアは様々な微量元素などの栄養素を生み出している。だから牛は超偏食なのに健康体でいられるのだ)

 

そして非常に重要なことなのだけど、多くの牛はそんなに運動をしない。だけどほとんどの牛は筋骨隆々である。このことから、筋トレは筋肉量増大の必要条件ではあるかもしれないけど、十分条件ではない事がわかる。あくまで筋肉量増大の為に必要なのは、良質なアミノ酸ならびにタンパク質の獲得なのだ。

 

また見逃せない大切な点として、牛は糖質・脂質を栄養素として多量に摂取していない事もあげられる。この事から、筋骨隆々ウシ型モデルを獲得する為には、エネルギー源として糖質や脂質よりもタンパク質やアミノ酸を主眼におく事が大事であると考えられる。

 

ハムスターは何で運動をするのか

次に登場するのがハムスターだ。モリモリと食物を食べる彼らは、回し車をぐるぐる回して日々運動している。あなたはなんであいつらはあんなに運動するのかご存知だろうか?(そしてあんなに運動している割には食っちゃ寝している牛と比べて、全然筋肉質ではない。)

 

実は彼らは運動しないと必要な栄養素を獲得できないのである。食べ物にある栄養素は比較的獲得しやすい糖質や脂質以外に、微量なアミノ酸だったり微量元素というものがある。

 

例えばハムスターが運動せずに一日に摂取できるひまわりの種にエネルギー量が2000kcalあったとする。しかしひまわりの種からはハムスターが一日に必要とする微量なアミノ酸や微量元素が一日に必要な1/3しかえられないとしよう。

 

このままではハムスターは一日に必要な栄養素を十分に獲得できないので死んでしまう。ではどうすればいいのか?簡単だ。走ってカロリーを消費すればいい。そうして6000kcalを運動で消費すれば、普通の三倍の食事を取ることができる。結果、微量な栄養素を全て獲得することができる。めでたし、めでたしである。

 

原理的に消化管の中でバクテリアを増殖し、吸収できない生物は全てこの方式を採択するしかなくなる。食べ物を好きに選べる我々人類はともかく、好き嫌いを言えない生物はこの方法で運動して食べて食べて食べまくらないと、全ての栄養素が獲得できないのだ。

 

そしてここでも大切なのは、ハムスターの主栄養素は糖質や脂質から構成されているという点だ。豊富なタンパク質・アミノ酸がないと、あんなに運動しても筋骨隆々になれないのである。

 

二つの動物モデルから考えられる事

さて。ここにきてようやく仮説が立てられる段階にやってきた。どうやら良質な肉体を手に入れる為には2つの要素が必要であるらしい。

 

一つは豊富なアミノ酸

 

一つは糖質や脂質以外の栄養素である必須微量元素。

 

どういう方式でもいいから、これらを獲ればいいのである。これをえるためには2つの方法がある。一つはハムスター方式。もう1つはウシ方式である。

 

ケーススタディ・ハムスター生活方式

ハムスター方式は単純だ。とにかく走るなりなんなりして、エネルギーを無茶苦茶消費する。そしてとにかく食べる。この繰り返しだ。

 

僕は年をとって走り始める人がいるのが沢山いることがよくわからなかった。けど今は彼らの行動原理が全て理解できる。ようは彼らは、体から余分なエネルギーをすっ飛ばして、さらなる食物を体に吸収できるようにするために走っているのだ。

 

そうして彼らは多くの食物を摂取し、普通には獲得できない量の栄養素を十分に体に取り込む事ができるようになる。結果、非常に健康になる。

 

もちろん単順に食べる量を増やすことでも、必須栄養素は獲得可能だ。だけどそうすると、どんどんどんどん余計な贅肉がついてきてデブになってしまう。その重たい体は栄養素は十分にあるかもしれないけど、不健康そのものだ。


だから彼らは走るのである。彼らランナーは、走ることが気持ちいいことであると体にインプットされた、ハムスター型の人間なのだろう。

 

僕は彼らが心底うらやましい。できれば僕も毎日走って多くの食物を摂取できるような存在でありたい。が、しかし僕を含めた大多数の人間は、ああいうストイックな存在にはなれない。じゃあどうすればいいのかって?ウシの生活を見習うしかないだろう。

 

ケーススタディ・牛型生活

牛型の生活を、肉食動物であるはずの僕達が得るためにはどうすればいいのだろうか?

 

まずは良質なタンパク質を体に沢山摂取する必要がある。大豆・赤身肉といった豊富なアミノ酸を獲得し、筋肉のもととなる原料を手に入れる必要がある。

 

次は微量元素だ。野菜を中心に、多くの食べ物を得る必要がある。またレバーや魚の内臓といった、赤身肉には含まれていない微量元素を多く含む栄養たっぷりのものを摂取する必要がある。ヨーグルトやチーズ、納豆といった発酵食品もその役に立つだろう。

 

量がどうしても食べられないといった人は、サプリメントの力を借りるのも悪くはないかもしれない。最近は東大発のベンチャー企業であるユーグレナミドリムシのちからという非常に面白いサプリメントを出していたりする。

 

もちろん必須栄養素を獲得するという意味ではどんなサプリメントを使用しようが問題はないのだろうけど、バクテリアを食べて筋骨隆々になっているウシというモデルを考えると、ミドリムシを摂取するという方式はかなり元のイメージに近く、いい方向に左右される事が考えられる(なおユーグレナに興味がある方は僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。 をオススメする。読み物としても非常に面白い) 

 

結論

ここまでの論点をまとめるとこうなる。

 

人として、筋骨隆々な健康な体を楽して手に入れる為にはどうすればいいのか?

 

その考察として牛型生活モデルを考え、またその反面教師としてハムスター型生活モデルを考えた。

 

人の消化器官系はどちらかというとハムスターモデルに近く、普通に生活する分には牛型モデルを踏襲する事は困難である。

 

ではどうすればいいのか?食生活をできる限り、牛型に近づける必要がある。その為に必要なのが、豊富な良質なタンパク質・野菜・発酵食品・内蔵といった食物から得られる微量元素である(そして糖質や脂質の摂取は抑える)

 

そしてそれらを食べ物を毎日摂取するのが困難な人は、ミドリムシのちからなどといったサプリメントの力を借りて、ウシが摂取している食生活に出来る限り近づくように努力する。

 

どうだろう?参考になっただろうか。ここに書いてある事は現在の栄養学的な観点ではかなりラディカルだが、そう間違ってはいないものだと僕個人的には思っている。

 

まあ読み物として楽しんでいただければ幸いだ。