珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

大人になるという事はどういう事なのかを考える

今ある社会形態は有史以来2000年程度の時を経て形成されたものだ。家族制度、学校制度、会社制度、いろいろあるこれらの形態は、もちろん完璧ではないのだけど6割ぐらいの人を上手く受け入れて、3割ぐらいの人達に反抗心を抱かせて、1割ぐらいの人達を殺す。もちろん全員を幸せにできればいいことは言うまでもないけども、そういうユートピア思想は大体においてグロテスクなものしか生み出さない。適合できなかった人、仕組みに殺される人の事を仕方がないと切り捨てるつもりはないけども、少くとも6割ぐらいの人を生かすことができる今の社会は、それなりには上手くできているのである。

 

国会の前で反戦を叫ぶ人達を例にあげるまでもなく、世の中には様々な仕組みがおかしいという人が沢山いる。たぶんある程度は本当におかしいんだろうなとは思う。ただ世の中を良くしていきたいという思いがあるのならば、本当に必要なのは仕組みに異を唱える事じゃなくて、得る側から与える側になる事だ。大人になるという事は、仕組みから恩恵を受ける需要サイドから、居場所を作り出す供給サイドになる事だと僕は思う。

 

人が衣食住を充足させた後、よりよい人生をおくっていくにあたって大切なのは下記の2つの要素だ。

1つは居場所。

もう1つはそこで得られる承認欲求。

そして居場所について、僕らの世界を事細かにみていくと主に4つの事象に分類できる事がわかる。

1つは家族空間。

1つは友情空間。

1つは会社を中心とする社会的空間。

1つは趣味を通じた空間。

 

心の平穏は常にこれからもたらされ、そしてこのどれか1つでも欠けると例えようもない寂しさを感じる。愛すべき家族、親友、地位、息抜き。マズロー自己実現欲求といい表したこれらは、人の自尊心のもととなる素晴らしい要因である。婚姻制度やら学校やら社会やらプロスポーツみたいな制度が何であるのかというと、居場所を国が制度として提供してくれているからなのだ。

 

僕も昔はなんで家族だとか学校だとか会社だとか部活だとかがあるのかがよくわからなかった。ただよくわからないなりにそれらに参加してみると、僕の暇な時間をリソースにして、自分の心の中に何とも言いがたい充足感が得られるという事はなんとなくだけどわかったりもした。もちろんそのどれもが毒になる要素があることも事実だったけど、なんとなくそのどれもが人間という一個体を満足させる要因がある事は理解できた。

 

さっきもいったけど、仕組みは人を生かしもすれば殺しもする。殺すだけの仕組みは存在を許されないけど、効率よく社会に居場所と承認欲求を与える制度は自然淘汰を受けた後に制度として定着する。国とか自治体のような機関は、それを上手く汲み取って人々の居場所のパイを増やしていってくれるための高速道路みたいなものだ。時々間違いも起こすけど、今のところ人類はよりよい道を開拓してきている。

 

なにか物事がおきると、賛成と反対の二つの意見が衝突する。まあそういった事も必要な要素のうちの1つだなとは思うし殺す仕組みを成立させないためにも必要な事象だなとは思う。ただ世の中の反対派をみてて思うのだけど、今まで散々仕組みからの恩恵を受けてきた人達で、これから先もずっと仕組みからの恩恵を搾り取ろうとしている悪い人達が結構この世の中には結構多いのだ。

 

僕なんかもそうだし普通の人は大体そうだと思うんだけど、普通の人は生まれた時は与えてもらう側だ。生まれた時には家族がいて、学校に行ったら友達がいて、学校の掃除だとかの下らない年中行事を通して人付き合いを学び、漫画や本、ゲームから与えられた世界観を通して個人の内省的世界観を発達させる。いい事ばかりじゃないけども、制度を通じて沢山のものを貰う事ができた。さて初めの問いに戻るけど、大人になるっていう事はどういうことなんだろうか。僕は居場所を作る事だと思う。

 

別に形はなんだっていい。家族を作れる人は家族を作ればいい。友達を楽しませる事だっていい。より多くの人の居場所を作りたければ、会社を立ち上げるのもいいし、それができないなら上司と部下にキチンと貢献するのだっていい。自分で趣味の会を主催するのだっていいだろう。大人という言葉の定義は結構難しいけど、国という制度を利用して居場所を作ってもらった僕達が自立するっていうことがどういう事なのかを考えてみた時に僕がまず思った事は、個人が国の役割をマイクロな単位で果たすことなんじゃないかなと思ったのだ。

 

今ある制度の代替案を出すのは無理でも、居場所のパイを少しでもいいから増やす。これぐらいの事ならばできるのではないだろうか。いつまでたっても駄々をこねて国に居場所も承認欲求も求めるのはやめよう。日本というビックマザーから与えてもらった素晴らしいものをお返ししようじゃないか。不平不満しかいわない子供のような人達を見るたびに、この国には大人が実に少ないなぁと僕は思うのだ。