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珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

リーダーシップを取る存在は、長時間働いてでも職場の流れを把握しておいたほうが後々の財産になる

たまたまホットエントリーをみたら連載している媒体でこんな記事が載っていた。

 

blog.tinect.jp

 

質の低さを量で補ってた自分としては、まあ確かになあとは思いつつ、自分の超長時間労働を行った研修病院のシステムに果たして意義があったのかどうかを振り返るようキッカケともなった。

 

何度か書いているが、自分は超ウルトラハイパー激務病院で初期研修を行った。朝の5時から22時までが通常業務。22時に定時の仕事が終わったら、終わらなかった仕事を寝ないで病院に残り、無理矢理次の日の朝が来るまでに仕上げていた。

 

この働き方が全員にオススメできるとは到底思えないし、はっきりいって普通に仕事ができるようになるという観点からすれば非効率的としかいいようがないシステムだったとは思う。こんな働き方をしなくても、普通に働くのには困らないぐらいの医者の技術は普通に身につく。これはもう、間違いない事実だ。

 

正直な事を言うと僕も少し前までは超ウルトラハイパー激務病院なんてマジで非効率この上ないシステムだと思ってた。あんなのはただの自己満足でしかなく、もっと意味のある技術を習得する時間を設けるべきだと研修期間中は思っていた。

 

ただ比較的まっとうな労働環境下にいる現在になって再び周りをみわたしてみると、不思議な事に激務病院出身者は他の普通の病院出身者と比較して、確かに仕事ができるのだ。診察・治療の能力はそこまで差があるわけではないのだけど、なんか彼らはマネジメントが凄く上手い。

 

これが一体何の違いに起因するのかなぁと思っていたのだけど、最近になってようやく疑念が氷解してきた。彼らは他部署の気持ちを汲み取るのが物凄くうまいのだ。

 

医者は診断や治療を行うものであると同時に、チームリーダーのような役割を与えられている。看護師や検査技師、薬剤師といったコメディカルはもとより、他科の医師とも適切にコミュニケーションをおこないつつ仕事を行うことを要求されている。

 

自分の出身病院もそうだったのだけど、激務病院はとにかく脚を動かすことをよしとする傾向がある。検体の提出をわざわざ自分の脚で検査センターへと提出させに行ったり、物凄く怖い外科の医師に、PHSではなくわざわざ対面でのコンサルテーションを行わせたり(まあこういう人はPHSより対面の方が優しかったりはするのだけど・・・)

 

正直働いている時は、こういう不毛な事をやってるから労働時間が長くなるのだと思っていたのだけど、今になってみると、ああやって脚を運んで他部署の人と直接コミュニケーションをとれた事は一生モノの財産だな、と思うのである。何度も何度も顔を見せることで、彼らが何を好んで何を嫌がるかといった、病院全体の仕事を円滑に勧めるためのコツのようなものが自分の中に凄く蓄積されていたなーと思うのだ。

 

こういう事は教科書では学べないし、実際問題医師として仕事を行うにおいて知らなくても全く問題はない。少なくとも実務的な意味で仕事ができるかという観点からみれば、不毛以外の何物でもない知識ではある。

 

ただ自分が管理する立場になると、この知識が結構ボディブローのようにきいてくるのだ。この手の知識があると、病院の仕事を全体で眺めた時にどこがどうボトルネックになるかがなんとなくわかるのだ。こういう知識は、若手のうちに無理矢理仕事という形で業務に組み込まれないと、手にするのは困難だろう。

 

少なくとも今現在自分がこの手の初期研修期間中にやった面倒くさい事をこの年になってやりたいかといわれると、億劫ではある。こればかりは若い頃にやらないと一生やれないタイプの労働だろう。

 

こんな感じで初期臨床医は様々な場所に顔を出す機会があったのだけど、こうして顔を出した部門で働く段になってみると、今度は当事者としていろいろなものがまた見えてくるのだ。

 

例えばさっき例に出した超怖い外科の医師、はっきりいって彼の事は今でも僕は嫌いだし、もう少し他人に優しくなれよとは思うのだけど、彼と一緒に長時間働いてみると不機嫌な人間にも相談して良いタイミングとしてはならないタイミングがあることが否応なしにわかるのである。

 

長時間の手術を終えたタイミングや帰宅直後のタイミングでの相談を彼に行った研修医が烈火のごとく怒られているのをみたりすると、「ああこのタイミングでこいつに相談するのはやめよう」だとかいう言外の知識が習得できたりする。

 

逆に超怖いはずのこいつが全然怒らずに相談事を対処しているような存在をみると「へっ!?この人って怒らないで人の話きけるんだ!?」という事がわかったりと、不機嫌な人間のマネジメント技術がなんとなーくわかったりするのである(そして怒らせない相談のコツを、後で仲間にコッソリ聞き出したりするのである)

 

これはもう、直接見ないと絶対に習得できない技術だと思う。少なくとも定時だから帰りまーすと、他人が働いている最中に帰るような人間は絶対に習得できない技法だろう。

 

まあ長くなったからまとめると、リーダーシップを取る存在は、長時間働いてでも職場の流れを把握しておいたほうが後々の財産になるかもよって話です。

 

そりゃ採血を10000人分やれだとか、意味もなく正座を24時間やれみたいな根性教育的な長時間労働は絶対に意味がないし廃止するべきだと思うけど、将来その施設でリーダーをやらなくちゃいけないような人間は、多少働いてでも他部署の力学を短期間で体に叩き込む事は損じゃないと思うけどね。

 

こういう人の気持ちがわかる為の若い頃の長時間労働は、将来の自分の仕事の技術習得とは別個にやっておくべきだとは思うけどなー。こういう他部署の気持ちが理解できる系の労働を、初期臨床研修での2年間と割り切ってやるのは個人的にはアリだとは思いますけどね(その後、専門家としてのちゃんとした医療技術習得もやらないといけませんし)

 

まあこれはあくまで医師のような幹部候補みたいな存在の意見なので、普通のサラリーマンには理解されにくいかもしれないなー。今日書きたいことはこんな感じです。