あなたの核を作るための読書案内。高須賀が選ぶこの100冊 NO.6~NO.10
この記事の続きです。残り95冊。
活字中毒気味な今では考えられないけども、高校生ぐらいの頃は本を読むのがひたすら苦痛だった。とはいえ読書という行為に憧れはあったので、自分が読めるレベルの本からスタートする事にした。それがライトノベルやミステリーといったジャンルであった。
僕の読書遍歴は漫画→ライトノベル→ミステリー→自己啓発→受験参考書→ビジネス書→自伝→自然科学系→オールジャンルって感じだ。この順番に難易度がガンガン上がっていく。
ドラクエでもはじめはスライムを倒すことから始まる。読書も優しいものからスタートすれば、自然といつかは難解なものも読めるようになる。
さて前置きが長くなった。今回はみんな大好き、自己啓発本である。
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- 作者: ナポレオンヒル,Napoleon Hill,田中孝顕
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 1999/04
- メディア: 単行本
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ナポレオン・ヒルの名著である。実をいうとこの本自体は読んだことがなくて、当時売っていたマニアックな会社が販売していた速聴CDしか聞いていない。
とはいえなんでこの本をここに持ってきたかというと、この「思考は現実化する」が僕の一大哲学だからだ。僕は今までの人生経験上「こうなりたい」という思いを抱いて生きていて、それが実現化しなかった事はほとんどない。
毎日毎日「なりたい自分」の姿を夢想しつづけるだけで、大体においてそれは何年か後に実現化する。もちろん努力もするんだけど、大切なのは自分がその夢を手に入れたいという気持ちをずっと持ち続ける事だ。
僕はこれで医大に合格したし、彼女もできた。最近だと執筆依頼が来たりと、まあ大体夢は実現している。今はとりあえず大金持ちになる事を夢想して生きている。
思考は現実化する。想像力も、意外と馬鹿にならない。
7
再受験生が教える医学部最短攻略法 2015年版 (YELL books)
- 作者: 荒川英輔
- 出版社/メーカー: エール出版社
- 発売日: 2013/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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たぶん人生で最も多く繰り返し読み込んだ本である(僕が読んだのは受験生当時のバージョンだけど)
当時とある進学校にいた僕は、身の回りにいる連中の一部に、少ない勉強時間にもかかわらず定期試験で高得点を叩き出している連中がいるという事実に気がついていた。
かけてる時間が少ないのに高得点を叩き出しているのだから、方法論自体が優れているに違いない。そう思った僕は書店で受験勉強法の本を読み漁った。和田秀樹、福井一成と有名どころを辿った後に見つけ出したのが荒川英輔氏のこの本だった。
はっきり言って革新的だった。和田・福井の方法論が頭がいい人が書いたあさっての方向を向いたわけのわからない受験勉強本だったのに対して、荒川の方法論はかなり凡人にも理解可能な範疇のものだった。
ものすごく、ものすごく読みこんだ。まるで敬虔なイスラム教徒がコーランを何度も何度も読み込み、正しい生き方とは何かを学び取ろうとするかのごとく、僕は正しい受験勉強という道を歩む為に、受験勉強そっちのけでこの本を読み込んだ。本末転倒である。
今考えれば、正しい受験勉強法なんていうのは極めて些細な事で、大切なのは当たり前だけど受験勉強自体をキチンとする事だ。偏差値は、勉強時間に比例する。受験勉強方法論を読んでも全く頭はよくならない。
これは本当に本当に大切な事なのでこれを読んでいる受験生の人がいたら、心に止めておいて欲しい。もう一つだけ付け加えるとすると、絶対に初めから難解な参考書を使わないこと。基礎の徹底だけで東大にも入れる。
それと初期段階では大手予備校の有名講師の基礎的な授業にキチンと通うこと。予備校は頭のいい連中には必要ないかもしれないが、バカには極めて大切だ。
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荒川の本の原本となったという本。荒川が上の本で大絶賛していたという事もあり、荒川信者は大体読んでいるはずだ。
内容は極めて合理的な受験勉強のための方法論である。これもメチャクチャ読み込んだ。正しい方法で受験勉強すれば、人より少ない労力で偏差値を上げることができるという幻想に囚われていた僕は、偏差値が上がらない理由を方法論が間違っているからだと思い込んでいた。実に愚かである。さっさと勉強すればよかったのに。
この本の著者、井藤さんは結構クセのある人で、本の中に色々な人生哲学やオススメ本を散りばめてくれていた。当時信者と化していた僕は、当然というかそれらのオススメ本も買って読んだ。
この当時はAmazonはまだ一般的ではなかったので、新宿・紀伊国屋とかの大型書店に出かけて書店員にリストを渡して本を探していた。今では紙の本は新品で買うことなんてほとんどない。隔世の感である。
この本に書いてる事自体は、正直訳に立たなかったけど(笑)ただまあ文字を読む良い訓練になったし、著者のような読書家になりたいという憧れを持つ事ができたのは大変よかった事だと思う。本書をきっかけとして、僕は道元やウィトゲンシュタイン、キリスト教などといった多数の面白い分野の本に手を伸ばす事となった。思い出深い一冊だ。
なお井藤さんの本はいくつか既に絶版だが、読み物としても大変おもしろいものが多いので、全て買って読むといいと思う。特に仕事力を高めるダイヤモンドルールは非常にいい本だった。なんで売れなかったんだろうこれ?
9
- 作者: 西原 理恵子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: 文庫
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その後、なんとか医大に入ることができた僕は、素晴らしい空気の読めなさも相まって大学で孤立していた。凄く寂しかったのは今でも覚えている。
西原理恵子さんの本は、どこかの部屋に置いてあった毎日かあさんが初めて出会ったきっかけだったと思う。お世辞にも読みやすいとは思えないその漫画に何故か惹きつけられた僕は、その後まあじゃんほうろうきに魂を打ち砕かれ、そして作者の人生哲学である本書を読むこととなった。
初めてこの世でいちばん大事なカネの話を読んだとき、文字通り感動に打ち震えた。最近ではお金の話をキチンとする本も結構見かけるようになったけど、この頃はそんな本は殆ど無かったと記憶している(僕が知らなかっただけかもだけど)
「貧乏は病気だ。それも、どうあがいても治らない、不治の病だ」
この一節を読んだ時、不思議と涙が止まらなかったのを今でも覚えている。僕は比較的裕福な家に育ったが、両親がひどくお金の話題を嫌っており、家庭内で全くお金の話を聞くことができなかった。
でもお金が生きていくうえで、本当に本当に大切なものだという事は幼心になんとなくはわかっていた。だけどムズカシイ経済学の教科書を読んでもリアルなお金についての大切さは全くわからない。その大切なお金の話を誰にでもわかりやすい形で初めて教えてくれたのがこの本だった。
今読んでも色あせない、素晴らしい名著だ。
10
この本に出会ったのは偶然だった。たまたま書店で山積みされていた本書を読んで、おろしい情報量の密度に圧倒され、そのまま買って帰ったのを今でも覚えている。
その後から僕は一貫して橘さんのファンである。この間は講演会にも出かけてきた。現実の橘さんは想像していたよりかなり普通だった(けど発言内容はすざましかった。あんなに面白い講演会は生まれて初めてだ)
本書のテーマは極めて強烈だ。
貧困、格差、孤独死、うつ病、自殺…世界はとてつもなく残酷だ。それに抗えとばかりに自己啓発書や人格改造セミナーは「努力すればできる。夢は叶う」と鼓舞する。が、奇跡は起こらない。生まれ持った「わたし」が変わらないからだ。しかし絶望は無用。生き延びる方法は確実にある。さあ、その秘密を解き明かす進化と幸福をめぐる旅に出よう!
当時自己啓発にはまっていた僕は、のっけから自己啓発を否定するこの論調に一気に引き込まれた。そしてNO.6で紹介した「思考は現実化する」を翻訳した田中氏がメチャクチャな人生を送っている事をこの本を読んで初めて知り、自己啓発で人間は変われないのだという事実に酷く驚いた。
橘さんのスタンスは極めて冷酷だ。キチンとした学問的知識を元に、現実を一から考え直す。金融も脳科学も何でもかんでも、彼は全て本から得た信用できる知識から自分の考えを作り出している。このスタンスに僕は凄く凄くシビレた。
それまでの僕は、何かかっこいい事を言っている人の事を全面的に信じて生きていた。だけど橘さんの本を読んでから、読書を通じて学問を身につけ、そこから自分の頭を捻って人生哲学を創りだすという行為に初めて気がついた。
僕はこの本を読んで初めて、自分の頭で考えるという事がどういうことなのかを理解したのである。実に思い出深い一冊である。読むたびに新しい感動がある。
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さてとここまでで4000字にもなってしまった。続きはまた今度。
あと残り90冊。ほんとこの連載、終わるんかいな(笑)