珈琲をゴクゴク呑むように

アツアツだよ(´・ω・`)

読書録  完全なるチェス 天才ボビーフィッシャーの生涯

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500ページ越えだったから正直読み通せるか不安だったけどそれをぶち壊すぐらい面白かった。

本書は題名の通りチェスの元世界チャンプのボビーフィッシャーの物語で、この本を読むことでフィッシャーの数奇な人生から現代チェスの歴史までを見通すことができる傑作だ。画像の通りkindle版があるので通勤途中にiPhone等を利用すれば本の重さを気にせずスラスラと読み通せる。

この本を読むまで僕はチェスが随分と昔からインターナショナルスポーツとして確立しており人々の強さも地域差にあまり影響されないものだという印象を持っていたのだけど、フィッシャー登場以前である冷戦前後の時代においてはチェスのチャンピオンやチェス協会の重鎮をソ連が総ナメしていたりという事を知り、言葉の通りあの時代っていうのは帝国主義からグローバリゼーションの分岐点だったのだなと得心した。全ての文化的活動は先導的な二匹の雄が確立し、その後国境を超えていくものなのかも知れない。

本書に出てくるフィッシャーは医学的な面から分析すれば完全に統合失調症アスペルガー症候群を併せ持った精神疾患患者のそれであり、随分と周りは苦労しただろうなと思う。こういう人に救いの手を差し伸べられるような存在でありたいと昔は思っていたのだけど、最近はそういう行為が非常に高慢なものにも思えてきつつ、だからといって無視するのもなんだかなあと思うもので、なんというか人が人をどうにかするのは難しいなと思う毎日でありますはい。