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【改訂】なぜ大企業は永遠に成功し続けれらず、新興企業に敗れるのか~三分で読める【名著】イノベーションのジレンマ~

これから

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の論旨を書いていきます。

この本、トンデモないスゴ本です。変な自己啓発書とかビジネス本100冊分位の価値はある。さすがあの池田信夫先生が手放しで絶賛するだけはあります。

この本は「なぜある時点で優良企業と言われているところが失敗するのか?」(GMとかフォードとか。今だとソニーもそうなのかな)という疑問を解説していってくれます。著者は優良企業がたびたび失敗していくのはそのような企業を業界リーダーに押し上げた経営慣行そのものにあると考察していきます。

その慣習とは顧客の声に耳を傾ける。求められたものを提供する技術に積極的に投資する。などの大企業なら極めて当たり前に取る措置であり、著者はそれらの事を持続的なイノベーションと呼んでいます。対して大企業が敗れ去っていくときは、市場に破壊的なイノベーションが生じていると考察します。

持続的なイノベーションというのは、単純に今あるものを、よりよい物にしていく、というものの事を指します。例えばノートPCのスペックがどんどん向上していくのは持続的イノベーションの例に当てはまります。対して破壊的イノベーションはノートPCに対するネットブックIpadなどが相当します

具体例がないと理解しにくそうなので、ここでは本文中に出てくるホンダがアメリカで成功したプロセスを書いていきます。昔ホンダは自社のバイクを売りにアメリカへ社員を派遣したそうなのですけども、当然の事ながら既にアメリカの大企業がシェアの殆どを獲得していて、食い込めなかったそうです。

そんな中社員が街中を小型のバイクで移動していたら、近所の住民の間でそれが話題になり当時アメリカにはまだ存在していなかった小型バイクに可能性を見出し、そこからニッチな市場を開拓していきます。そしてある段階までその市場が成長した時、大型バイク市場への乗り込み、そして成功します。

ここに出てきている大型バイクが著者の提唱する持続的なイノベーション市場に相当し、小型バイクが破壊的なイノベーションに相当します。つまり大企業が「顧客の声に耳を傾け、求められたものを提供」している間にホンダの小型バイクという破壊的なイノベーションがゆっくり進んでいるわけです。

つまるところ大企業が成功を謳歌している間に、水面下で将来のシェアを独占するであろう技術がゆっくりと進行している、という事です。しかしそれならば何故大企業はこの破壊的なイノベーションが現れる事を予測しないのでしょうか?著者はその理由について以下のように分析しています。

①「企業は顧客と投資家に資源を依存している」

企業が生き残るためには、顧客や投資家が必要とする製品、サービスを提供していかなくてはいけない。そのため大企業は顧客のもとめない(つまり奇抜な)アイディアを切り捨てていく傾向がある。

ここの例で言うと、お得意さんがさらなる性能のよい大型バイクを所望しているのに、小型バイクの開発の必要性を声高に唱えるCEOは、あんまり優秀ではない、と捉えられてしまう、ということなのでしょう。

②「小型な市場では大企業の成長ニーズを解決できない」

成長している企業は株価を維持し、従業員に機会を与えるために成長し続ける必要がある。つまり将来的には大規模になりうる市場でも、今すぐに大きな利益を得にくい市場に参入する事がだんだんと難しくなっていく。

これは同じ数の社員数(同額の人件費)を投入して利率の悪い事をやっていると、株主に「何無駄なことやって遊んでんだ」と指摘されてしまうという事でしょう。会社の規模が大きくなると成長率を維持するためにも莫大な金額がいります。一億の企業と百万の企業だと一%成長するのに必要な金額も全然違う

③「存在しない市場は分析できない」

優れた経営者というのは確実な市場調査と念密な計画を練って意思決定し、計画通りに実行する事、と考えられている。しかし例えばI PADの例をとってみればわかる通り、そもそも破壊的なイノベーションというものは存在すらしていないものの事である。

えてして大企業という所は「初めに行動ありき」のようなプロセスを介すことを嫌うことが多く、行動するために理由(市場分析)を必要とする。このため破壊的な技術を育てる土壌を生みにくい。ジョブスが顧客の声を聞くな!自分の欲しいものを作れ!と言ったのはここの原則に相当するのでしょう。

④「組織の能力は無能力の決定要因となる」

組織の能力は、その中で働く人材の能力とは無関係である。人材などの資源と異なり、プロセスや価値基準に柔軟性はない。組織の能力を生み出すプロセスや価値基準も、状況が変わると組織の無能力の決定因子となる。

人に得意不得意や頭の硬い軟らかいがあるように、組織も成長するにつれて柔軟な対応を取りにくくなっていきます(官僚組織の無駄の多い仕事なども例として挙げられるでしょう。あんなに難しい試験を突破したはずの官僚も、いる場所によっては優秀な行動が取れない、という例がわかりやすいですかね)

⑤「技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない」

破壊的技術は当初は小規模な市場でしか使われないが、いずれ主流市場で競争力をもつようになる。これは技術の進歩のベースが時として主流顧客が求める、または吸収できる性能向上のペースを上回るためである。

これには色々な性質が絡みますね。例えばいくら小型のラジオが将来市場を支配するといっても音質が悪すぎたり、値段が高すぎたりすれば初めからバカ売れするはずがない。他にも初めはみんな慣習としてラジオは大きいものだ、という先入観をもっている場合、それが取り除かれるまで需要は伸び悩みます

と、5つの破壊的イノベーションの原則を例とともに書きました。 まあまとめると大企業の生存のための戦略と、将来市場を支配する技術を育てる戦略のそりが合わないため、過去に優良な企業といわれている所がベンチャーとかにばったんばったんやられてしまう、ということです。

ちなみに破壊的技術となるものには以下の共通点があるそうです。

1、単純。

2、低価格。

3、性能が低い。

4、一般的には利益率が低い。

5、大企業にとってもっともうまみのある顧客は、通常、それらを利用したいとも思わない。

6、最初は新しい市場か、小規模な市場で商品化される。

これ初めにあげたホンダの小型バイクに全部当てはまりますね。小型だから操作は単純。価格も安い。性能は大型に比べて低い(ただ後々同レベルのスピードが出せる性能まで技術が進歩しかつ燃費が圧倒的に大型より優れる)利益率は必要部品が大量生産されてないから当然低いです。で最初の市場は近所だけ

さて、では自社の将来を脅かす破壊的技術が出現した、と気がついた経営者はどうすればいいのでしょうか?著者は次の事をすすめています。

1,破壊的技術の開発を推進するために社内に新しい部署を新設する。

そこでは普段業務上で行われている社内ルールを適応しないようにし、素早い意思決定を行えるようにする。

2、新設された独立組織は、小さな利益を上げることにも喜びを持てるように、小規模にする。また評価基準も「成功して当然」という風にするのではなく、小さな失敗をした時に素早く撤退を図れるようにし失敗は次の成功のための学習の機会と捉えられるようにする。

初期の失敗はデータ収集にも繋がる。存在していない市場に向けて戦略を練っているので、初期の破壊的イノベーションの実行は成功する可能性が非常に低い。だが一度失敗を経験すると何が悪かったのかや、何を顧客が求めているかが理解できるようになる(やってみて初めてわかる、という事ですね)また失敗は小規模に抑えられるようにする

3、初めから急激な成長を期待しない。早い段階から行動し、現在の技術の身の程にあった小さな市場を見つける。また、それは現在利益を上げている主流市場とは別の場所に存在している事が多い。主流市場にとって魅力が薄い破壊的技術の特性が、新しい市場を作り出す要因となる。

これはアップルを例にとって考えるとわかりやすいかと。アップルはPCという大きな利率をあげられる場所をひとまず先送りにし、音楽プレイヤー(ipod)という市場から攻め、携帯電話、タブレットPCと新規市場をどんどんと開拓していった結果、ウインドウズを超え時価総額世界一になりましたね。

と、大企業がやられる理由とその要因となった破壊的技術、それを生む破壊的イノベーションについて書き上げました。ちょっと上手くまとめられきれなかった気もするので、これ読んで興味もった方は是非とも

イノベーションのジレンマ...http://t.co/d24I7fCb を続けてお読みください。本書の中ではハードディスク業界を例にとって丹念に考察が書かれています。そちらの方は全く今回書かなかったので、まとめを読んだ方も本を読むとずいぶんとまた新しい発見があるかと思います。

またケーススタディの本としては池田信夫先生の

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が大変優れています。出てくる起業がIT関連や日本企業、最近のものなので、大変参考になる。こちらも是非ご一読をするとよいかと思います。